第二百九十五夜 断質宣言への軌跡 

人力検索はポイントを貯めるためのサービスじゃないと思うんだ。じゃあ何かって?  
知的好奇心はすべてに勝る快楽だと知っているからさ。 

 
alpinixは2009年の後半に、久々に人力検索に戻ってきました。
それまでもちょこちょこと実務の質問をすることはありましたが、登録直後のような人力検索をコミュニティツールとして使うのは数年ぶりだったように思います(2007年の4月を最後に実務的な利用にシフトしていますね)。
そういう意味ではalpinixの人力検索としての活動最盛期は2004年から2006年でした。
それは、その頃が最も人力検索はてならしい面白味のエッセンスが詰まっていた時期だからではないかと感じている自分がいるからです。それはどうしようも無い。懐古主義なのは重々承知の上ですけどね。
 
2009年の復帰時に過去ほどの楽しさが人力検索から失われていたことに、本当の意味で気が付いたのは復帰後、半年ほど活動したのちのことでした。
http://d.hatena.ne.jp/alpinix/20100120

さて、私事の忙しさとの兼ね合いもあって、人力もダイアリーも休止したり再開したりを繰り返していたのですが、今回の再開(人力回答2009年9月頃〜)では過去に体験したようなワクワク感はなりを潜め、どちらかというと某巨大掲示板のノリが混在した初心者には敷居の高いサービスだと感じている自分に気づきました。ある程度古参ユーザーと呼ばれるユーザーがなんとなく横に繋がりメインストリームをはっていて、その上を滑るように情報を求める新参者が入れ替わり立ち代り入ってくる。悪質回答者をバッシングする流れは以前よりも先鋭的になっている感があり、新しい遊びを開拓するよりも「過去の面白かった企画」を懐かしむような質問が目立つ。
 

要はつまんなくなったということです、人力検索が。


何故つまんなくなったのかという論争は、別な話なので、おいておきます。(個人的には結論はでているのでこの先わざわざ言及する必要もないとは思っています)
 
このとき僕が強く思ったのは「まだ人力検索もユーザーの力で盛り上げ直せるんじゃないか?」ということでした。(今でも思ってはいます。)
数は少なくとも、人力検索の最盛期に活躍していた名の知れた優良ユーザーがある程度は残っていました、今以上に。
でもこのまま個々に活動していくと、恐らく「限界集落化」するだろうことも容易に想像できました。
 
おこがましいですが、昔の人力検索に活気があった時代のコンテンツを知っているalpinixなら、今のユーザーに人力検索の楽しみ方を教えてあげられるんではないかな? と考えたのです。
当時の人力検索を盛り上げるのに最も必要な要素は「魅力ある質問を増やすこと」だと僕は結論づけていました。(決して有能な回答者が不要とかいうわけではなく、当時はまだそちらは数が揃っていたからです。敢えて挙げませんが、まだ「これは勝てねえ!」と思える回答者が現役で複数いらっしゃいました)
 
そこで2010年春ころからはalpinixは主に「質問者」として人力検索にかかわっていくことにしました。
実験質問が多かったのは、そういう理由が大きいです。
もちろん自分が楽しむこともモチベーションの維持に大いに必要でしたが。
 
以来、うごメモユーザーの2010年の流入を経て(当時は個人的にはチャンスだと思いました。うまく定着してくれたユーザーは結果的には少なかったですが)、いくつかの小山はありましたがそのまま2011年のリニューアルに向かっていきます。その間、質問者としての師と密かに仰いでいたlionfan氏も頻繁に登場されるようになったものの、それと表裏を合わせるように衰退の影(ユーザーの固定化)も感じていた時期でもありました。
 
あちこちで書きこみしていますがリニューアル自体は僕は賛成でしたし、それ自体は避けて通れなかったと今でも思っています。手を打たなければいづれ、UUは尻すぼみになり、古参のヘビーユーザーも徐々に遠巻きになっていったでしょう。10年前と違って、Q&AサイトにPCからログインする、というスタイル自体が所謂「オワコン」になってしまったのかもしれませんが、それを無視しても、新らしい血の取り込みが進まなかったのが一番の要因だったと思います。
 
断っておきたいのは、断質宣言は、質問者としてのalpinixの限界を感じたからであり、これ以上今のシステム上で魅力的な質問を出し続けることは難しくなったからです。決して今時点での人力検索が悪と決めつけるものではありません。
 
そこに到った要因は自分でも判然とはさせていませんが、回答ユーザー層の移り変わりでもあり、回答即オープンでしか質問を登録できない現状に対する自分の無力さでもあり、モチベーションを維持してきた優秀な他の質問者の喪失であったり、いろいろ複合的な問題です。
 
最後に3つ纏めて質問したのは「これが今のalpinixが出せる精一杯」です。これからの人力検索に何かいい影響を与えられるような質問を一つ、今の人力検索のシステムにマッチしていると思われる質問を一つ、そして自分が拘ってきた「回答を伏せた状態で真価を発揮する質問」を一つ、質問登録5日目には一日だけですが注目質問のベスト3を独占することができたようで、質問者冥利につきます。
 

人力検索がリニューアルされてからそろそろ4カ月が経過します。
http://q.hatena.ne.jp/1317010160

■【続きを創造してみよ】
http://q.hatena.ne.jp/1317009089

■【漢字を創ってみよう】
http://q.hatena.ne.jp/1317008193
 
おそらく、現段階で人力検索であるぴにっくすが残せる、最良の質問だと思います。相乗効果もあってわずか一日でも注目質問を独占したのだと思いますが、これが最初で最後なので許してね。
(今までは自分の質問が上位独占したり画面占領しないように間隔を開けてました。捌ききれないという切実な理由の方が大きかったりもしますが)
 
SEO屋との戦いはこれからも長く続くでしょう。
新参ユーザーへの教育はそれこそ永遠の課題だと思います。
Webユーザーの変遷によるシステムや仕組みの改編の波はもっともっと荒くなるでしょう。 
 
それらへの対応に、今は出せる矢が尽きてしまいました。(とかいいつつSEO屋にはちょっかい掛け続けると思いますが)
 
いつ頃からこういう風に思っていたか、自分でもよく分かっていないのですが、こんな記述を見つけました。
 
http://q.hatena.ne.jp/1290007944#a1047916

僕は元々はダイアリからスタートしたので人力に飽きたり人力がなくなったりしたらダイアリに帰っていくのだと思っていますが、今は人力にパワーを注ぐべき時期、と割り切って少ないリソースを投入しています。なので遊べる限りは遊んでもらえると嬉しいです。

 
僕はスパッと「明日からは退会!」というような英断はできないクチです。
おそらく暫くは回答やコメントで少しは参加しつつじわじわと離れていくのでしょう。
 
誰かのためではなく、自分の気持ちに整理を付けるために、今回、これだけは宣言しておきます。

あるぴにっくすはハテナ内での活動の自重を大きくシフトすることになりました。
おそらくハイクやダイアリー、ブクマの方になるでしょう。
ネタ質問で皆さんに会えなくなるのは寂しいけど、まあ新しい何かを見つけ出しますので、その時はまた遊びましょう!
 



※こんなこと書きつつ、来週にも質問してたらやだなー。