第二百十三夜 マスターキートンとドナウ文明

question:1106841679

マスターキートンのネタに関する参考文献をできるだけあげて下さい

MASTERキートン (1) (ビッグコミックス)

MASTERキートン (1) (ビッグコミックス)


MASTERキートンは私も好きな漫画の一つです。その構成の巧さ、時事・政治ネタを取り扱いながら人間味溢れるストーリー展開はすばらしい、の一言。
 
考古学に興味が無い方にもお奨めできる一品です。実は全巻+「キートン動物記―MASTERキートン/番外編」まで持ってたりします・・・。他の漫画は大半は実家に送り返してしまい、今では親が古本屋に売却してしまったようですが、これだけは手元に残しておきたかった、そういう本ですね。
 
質問者の方は気長な方なようで、すでに3つほど回答がついて丸一日経ってますがまだ回答を待つようです。私自身も気になるので調べてみることにしました。
 
まずはこんなところから、
http://puurari.blogzine.jp/weblog/2005/01/post_9.html
原作者である勝鹿北星氏が亡くなられていたようです。ご冥福をお祈りいたします。ご本人をモデルにしたキャラクターが作中に出ていたそうで、
 

第3巻「すべての人に花束を」に出てくる、青いアマリリスを育てる傷心の園芸家佐伯純男、この人こそが勝鹿北星氏がモデルとなった人物だということです。

とのこと。こういうのを聞くと故人が偲ばれます。
 
さて、探しているうちにファンサイトで結構立派なのが見つかりました。
http://triplebridge.hp.infoseek.co.jp/index.html
ここでは現在復刊運動をされているそうです。復刊運動、レビュー等が掲載されてますが、作中に出てくるペニロイヤルミントの栽培記をつけられてます。実際には入手可能な品種らしいです。

ところが、肝心の「MASTERキートン」(通常版およびワイド版)、「キートン動物記」の各単行本は、残念ながら現在絶版になっております。今のところはかろうじて中古書店で探せますが、このまま絶版状態が続けば、近い将来入手が困難を極めるようになるであろう事は想像に難くありません。

とのことで寂しい限りです。漫画に限らず昨今の本事情を考えると仕方が無いことなのかもしれませんが寂しい限りです。ますます自分の所蔵分を処分できなくなりました。後発のワイド版まで絶版というのは驚きです。何より古書店に出回らないんで入手が困難なようです。
 
さて、前置きはさておきまして、今回調べたかったのは「マスターキートンのネタに関する参考文献」です。その中でもストーリーの根幹になっている「ドナウ文明」について調べてみましょう。
 
http://www.hum.u-tokai.ac.jp/~haruta/saq/tartaria.html
東海大学文学部の方がマスターキートンの内容について論考されています。東海大学文学部文明学科の教授(ゼミ持ってるようなのでおそらく)らしいです。Aをつけた学生の論文名がHPで掲載されていたりします(笑)。ゼミ生はたまったものじゃないですね。その中で、

東ヨーロッパの銅石器時代遺跡には、ユーゴスラヴィアセルビア)のヴィンチャ、ルーマニアのタルタリア(ここから、文字風の記号が刻まれた粘土板が出土しています)、さらに少し外れますが、ブルガリアの黒海沿岸に位置するヴァルナ(大量の金製品が出土)など、重要なものが存在します。

(記号の刻まれた遺物は、ドナウ中流域の他の遺跡からも出土しています。)

そうした意味で、キートンの説は、決して特異なものではありません:

イギリスのレンフルーは、バルカンの銅器時代の社会がオリエントやエーゲの後背ではなく、それ以前に独自に自立した文化システムを確立したと説き、またアメリカのギンブタスは四大文明以前にバルカンには「古ヨーロッパ文明」があったと主唱する。
(中村友博「東欧考古学事情」、『最新海外考古学事情』(月刊文化財発掘出土情報[増刊号])ジャパン通信社、1994, pp.62-68.)
(要するに、『MASTERキートン』が、このような主張を踏まえて話を展開させているわけです。)

 
となっていますように、「ドナウ文明」説そのものはそれほど突飛な説ではないようです。では他に詳しいサイトが無いか探して見ましょう。
http://www.rui.jp/message/04/79/28_c5c1.html
あまりメジャーな分野ではないのか、検索できるサイトは少ないですね。
ここではヨーロッパにインド=ヨーロッパ語族が進入してくる以前の文明について少し触れられています。
http://www.actv.ne.jp/~sakamon/indo.html
侵入の状況
ちなみにインド=ヨーロッパ語族というのは単一の民族ではなく、言語学的に同一の言語を使っていたというだけだった・・・・はず。西洋史学の学徒であったのがはるか昔で裏覚えですが・・・・。
 
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/tiakio/antiGM/old_europe.html
どうやら、母系制社会であったようです。ここ詳しいですね。マスターキートンの作中でもそんな説明があったような気が・・・。
さて、古ヨーロッパ文明についてそこそこまとまっているページが出てきたところで終わりにしましょう。
 
折角なので18巻読み返してみますか。
 

MASTERキートン 3 完全版 (ビッグコミックススペシャル)

MASTERキートン 3 完全版 (ビッグコミックススペシャル)


2011年になってようやく復刻版が書店に並びました。喜ばしいことです。