第百八夜 キャシャーンがやらねば誰がやる!!

alpinix2004-05-22

・・・・見てしまいました。「CASSHERN」(http://www.casshern.com/
巷で酷評が飛び交ってるのは知ってましたが、それでも予告編の格好よさとか、低予算で作り上げた映像美とか、興味のある作品だったので、何週も前からみようかな、どうしようかな、と迷っておりました。たまたま今週末、身体が空いたので、思わず新宿に出てしまいました。
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意外と混んでました。女性連れとかカップルとか、とにかく若者ばっかりです。一人で見に行ったので時間ぎりでも余裕で座れるだろう、と踏んでたのですが、危うく最前列か立ち見になるとこでした。


以下ネタバレも入りますので、未だ見てない方で見ようかな・・・・と思っている方はご注意ください。まあいろいろな意味でネタバレしたからといって見る価値が減る映画でもないですが。

ストーリーは破綻している、ということはあちこちのサイトで見ていたのでその辺は割り切って見ることにしていました。その辺は予想通りでした。まあ良しとしましょう・・・・。世界設定も大破綻しています。でも私はこの辺には寛容なので目を瞑りました。
エンターテインメントの作品内の世界設定に無理、無茶、おかしなところは付き物だと思っています。理論上有り得ない、とか矛盾してる! とかいうことを言っていたら面白くもなんともありません。それより作成者の脳内で醸造された突拍子も無いもの、予想もつかないものを見せてもらった方が「金払ってみた価値がある」と思ってるので。辻褄あわせが多少あっていなくてもあまり文句は言いません。例えば・・・

世界の6割は公害病に罹っているのに「奇形」の人間が主要登場人物には出てこない・・・・世界が美しくなくなってしまうので却下
50年にわたって戦争して世界は荒廃しているはずなのに、(20歳そこそこの)主人公の子供時代の回想シーンは普通の世界である・・・回想シーンが美しくなくなる
主人公とヒロインが歩いて街から逃げだした先が偶然、主人公が戦場として赴いた「第七管区の最前線」だった・・・これ以上話が長くなると見るのが苦しくなる
結局あの稲妻は何だったの? 新造人間が夢に見るクレー人形の映像は何?・・・訳わかんなさが深読みの面白さを引き出す
あの城はなんなの? そもそも新造人間がなんであそこに辿り着けたの?・・・見るからに悪のアジトって感じだから、悪のアジトは人知れず出来上がるのだ
出だしの町並みはファイナルファンタジー7の世界設定と酷似してるんですが? あとどう見てもガンペリーみたいなのが飛んでるんですが・・・記憶抹消


というわけでこの辺は私の感性ではなんとか消化しきれました。一気に飲み込んで喉元過ぎればなんとかなります。
しかし、そういう世界観ではないところ、人間のやりとりにはしっかり道義付けして欲しかった。そうしないとすこし世界にのめりこみにくい・・・。例えば、
場面が変わったときにヒロインが椅子に寝そべる場面がありますが、あの動きは不自然です・・・。綺麗な女性がソファに寝そべった絵が欲しかったんでしょうが、待ちくたびれて寝そべる・・・というには無理のある動きです。
敵方の新造人間が、主人公を味方に引き入れにやってくる場面がありますが、「私の弟になるのだ・・・」という主張はその前後の台詞からは無理ありすぎ。
新造人間側の巨大ロボットを止めるために主人公は立ちはだかりますが、ロボットの時計が6時30分から短針・長身が同時に逆回転して12時になろうとするのを止める場面・・・何を感じ取ってそれを止めようと思ったの? 説明なさすぎ・・・・。なんとなく時限爆弾だなあくらいは分かったけど・・・。
主人公一家と婚約者一家が写真を撮る場面で父親の東博士が写真に入らずに「研究があるから・・・」といって抜けるがその写真が何故か研究室に飾られている。やや不自然・・・・。
みんな怪我人を床に寝かせすぎ!!、ベットくらいあるだろう。

まあ人間の心の機微や何気ない動作に関するところはもう少し気を使って欲しかったところです・・・。でもこのシナリオ、破綻した、破綻した、といわれる最大の原因は新造人間の「戦うための理由付け」を追求しすぎた結果だと感じます。全編に渡ってそのための台詞や回想・夢想シーンが詰め込まれてますがもうちょっとさらっと流してくれた方が逆に違和感なく世界に入り込めたのにーと。そうすればもうちょっと観念的や映像のところに気持ちを持っていけたのに、と惜しまれます。
観念的な映像といえば、巨大ロボットの時計が6時30分から短針・長身が同時に逆回転して12時になろうとするのを止める場面で、その後、主人公の回想シーンに時計が6時ジャストになっている映像が映ります。これは「昔のことを見ているんだよ」という意味を指し示していると思うんですが、先の理由でいまいち伝わりにくくなってしまってます。

ああ、なんだか込み入ってきすぎましたね・・・。
でも予告編に出てくる部分の主人公が初めて戦うシーンは綺麗で、格好よくて、なかなか痺れます。このノリで最後まで行ってくれた方が個人的には楽しめたのですが。あととっても残念なことに、あの決め台詞「・・・・キャシャーンがやらねば誰がやる」が本編には出てこないです。最後の戦いの前にてっきり言ってくれるもんだと思って期待していたのですが予告編だけのものだったのですね。全部覚えてないので検索で調べました。

googleで検索 キャシャーン 決め台詞
あっさり出ました。
http://taripon.way-nifty.com/taripon/2004/04/post_17.html

たったひとつの命を捨てて 生まれ変わった不死身の体 鉄の悪魔をたたいて砕く キャシャーンがやらねば誰がやる

うーん読み返してみると今回の映画版には少し当てはまらんところがありますな。その辺で敬遠したんでしょうか? でも聞きたかった。

エンドテロップを見る頃には脳味噌を背後から鉄バットでぶん殴られたような衝撃と疲労感が漂っていましたが、なんとか気力を振り絞って最後まで見ることにしました。映像美を期待して見に来た人が多かったのでしょうか? 殆んど立ち上がる人はいませんでした。それともラスト10分弱の映像を見て放心してたんでしょうか? まさかアレで終わるとはみんな思ってなかったのでエンドテロップの後にもう少し映像があることを期待してたのでしょうか? 僕は諦めてましたが・・・。
しかしそのエンドテロップの中に目を見張るところが2箇所ありました。

テーマソング 宇多田ヒカル 

知ってるよ・・・・

挿入歌 椎名林檎

どこに!? ぜんぜん気づかんかったぞ!
検索で調べてみました。
googleで検索 キャシャーン 椎名林檎
http://www.shinseido.co.jp/eiga/hoga/casshern.html

椎名林檎/茎(ステム)

う〜ん何度思い返しても椎名林檎の声が思い出せない・・・いったいどこだったんだろう。というかそれなら試写会には紀里谷監督は宇多田妻と椎名林檎を両手に花で登場してくれた方が話題性があってよかったのに。

もう一箇所・・・・

ロボット図面協力 早稲田大学理工学部・・・・

(ぼーっと見てたので正確な表現は不明、「ロボット図面」と「早稲田大学○○学部」は間違いない)
なんですかそれ?
どのロボットに大学の研究室から協力をもらわにゃならん部分があったんだ!
早稲田大学のロボット研究といえば結構有名です。
http://www.humanoid.waseda.ac.jp/index-j.html
探してみましたがキャシャーンへの協力を書いた部分は見当たりませんでした・・・。汚点なんでしょうか・・・。