第二百六十四夜 映画を見るなら劇場で

今日、スターウォーズのエピソード3を見てきた。
はっきりいって、最初の15分、衛星軌道上での艦隊戦は圧巻! 見ごたえ十分、後半のストーリーが分かりきってる映画だけに少々不安はあったが、この部分をスクリーンで見られただけで1800円也の入場料の元は十分に取れた、と感じた。
 
さすがルーカス。できれば裏切り物呼ばわりされてもいいから(ファンは喜ぶだろうが)7以降も作って欲しいところだが年齢的な問題もあって難しいようだ。
 
さて、夏休み最初の土日、それも公開間の無い人気映画だけに相当の混雑を予想して指定席券まで準備したのだが、それに反して劇場はがらがらだった。
なんで?
 
まあ行った映画館そのものが郊外のシネコンで客層が違うから、というのもあるのかもしれないが、それにしても空いていた。
他のスクリーンでやってた「ポケモン」と「NARUTO」はこども連れで行列ができていたくらいだから、劇場そのものが空いていたというわけではなかったが、それにしても寂しい状況だった。
 
昔に比べて映画を劇場で見に行かなくなった、という風潮もあるのかもしれない。ロードショーから半年も待てばレンタルできるようになるものも多いし、下手すればコンビニでDVDが3000円そこそこで変える時代だ。
家庭用の音響システムが人気、というのもその片鱗かもしれない。
ということで映画館がどのくらい衰退しているのか、を調べてみることにした。
 
http://www.pref.toyama.jp/sections/1015/lib/tokusa/rep2001/movie.htm
富山県の情報だが、全国の情報と比較しているので分かりやすい。(平成13年)
と、これをみて思ったのだが・・・・意外と映画館って健闘してるんじゃないの?
 
全国の年間入場者数は延べで1億3千万を越えている。これは1人年1本は見る計算だ。正直そんな多いとは思わなかった。まあ13年は大ヒットした映画が多かったという要因もあるようだが・・・。
ちなみに、7-8月はやはりかきいれ時らしい。夏休み、暑い、クーラーの利いた涼しい映画館でも・・・という図式は変わらないようだ。
 
http://blog.mag2.com/m/log/0000147984/105404107?page=1
他に面白い数字はないものかと探してみたら、

全盛期の昭和33年には、映画館が7,000館もあって、
観客動員数が11億人もいたんですって。この頃の人口って9,000万人
ぐらいだから国民全員が毎月1本は見てた計算になるワね。
それが2004年のデータをみると、映画館が2,800館、観客動員数は
1.7億人になっているワ。

いいのがありました。やはり減ってるんですね・・・。まあ僕も昔ほどには映画館で映画見なくなりましたから。
で、注目すべき情報が、こちら。

・映画ソフトの市場規模(2002年)
  劇場公開   :約2,000億円
 テレビ放送  :約 800億円
衛星放送  :約 900億円
CATV放送  :約 190億円
  セルビデオ  :約1,000億円
  レンタルビデオ:約3,200億円
  合計     :約8,090億円

いまどきの映画は劇場公開分だけでは興行収入の1/4しか稼げない、という事実。(まあ劇場公開以外は過去の映画の資産があるのだから1本の公開映画に限ってみればそこまではいかないとは思うが)
つまり、さんざんぱら「映画を見るなら劇場で!」とうたっている映画界だが、実際の収入の多くは「劇場以外」から得ているのである。
 
それが顕著に出ている数字がこれ
http://www.eiren.org/toukei/data.html
どこが顕著かというと・・・。

※2000年から興行収入による発表(配給収入発表なし)

つまりこのころから、「映画は劇場だけで稼ぐもんじゃない!」という認識が固まったんではないかなあーと、僕なんかは感じるわけです。
http://www.ewoman.co.jp/report_db/pages/10_050425_5.html
でもこうしてみると僕の幼少時代ってすでの映画、冬の時代に入ってたんですね。(80年代)結構田舎だったのだけど小学校低学年くらいまではたまに見に行く映画はいつも満席だった記憶があるんですが。人口17万くらいのところに映画館3つもあったし・・・。(今は1つ・・・寂しくなったなあ)
 

続いてewomenのレポート記事
http://www.ewoman.co.jp/report_db/pages/10_050425_5.html

映画を見るならレンタルで十分楽しい?

というアンケートで、この文章の結論はやっぱり「映画はやっぱり劇場で」というスタンスなのだが、上がっている意見は結構「家で見た方がいい」っていうのが多い。
 
さて、50年前に比べると激減した、映画館。それがここ数年は逆に復活傾向にあるという。
http://www.sogo-unicom.co.jp/data/book/0219991201/
その中心になっているのが「シネコン」と呼ばれる郊外型の複数スクリーンを持つ映画館だ。(僕が今日行ってきたのもシネコンです)
綺麗な劇場、割と小さめのスクリーンを複数持ち、複数の映画を組みあわせて公開する。集客力は併設している施設にも多少依存している、という形だ。座席は指定できるところも多いし、立ち見になることもまずない。席はゆったりしていて音響設備も整っていることが多い。
 
そりゃそっちに流れるよなあ。僕だって同じ見るなら綺麗な映画館の方がいいし、席だってできれば確実に座れる方を選びたい。
 
こういうシネコンができたおかげで劇場数そのものは減っているようだが、スクリーン数が伸び、結果的に観客動員は徐々に右肩上がりになってきているという。
 
それはそれでうれしいことなのだが、逆にいうとどこにいっても同じサービス、同じ映画をやっている映画館ばかりが増えていることになる。
映画のコンテンツに縛られず、お客をある程度囲えてしまうこういうタイプの映画館は商売としては、いいのかもしれない。
 
でも●●座といった、昔ながらの映画館のような追悼●●特集、みたいなことをやってくれるような魅力的な映画館は少なくなっている。
僕の田舎の映画館はいわゆる「場末」に近いところだったので、少し古めの映画を二本同時上映、なんてのがザラにあった。というかスクリーンが少ないのでそれをやらないとやっていけなかった。初めて親についていってもらわずに見に行った映画がなんかのアニメと(記憶が全然ない)スタンドバイミーの二本立てだった。スタンドバイミーなんてタイトルすら知らないで見に行ったのだが、印象に残ったのはこっちだった。あと今は完全入れ替え制が全盛だが、昔はそうじゃなかった。確かどらえもんの映画だったと思うが親に連れられて見に行ったとき、公開中の途中でどうどうと中に入れて(係員も普通に通していた)、映画を途中から鑑賞、その間は混んでるときは壁際に座り込み。一度映画が終わって立った人の席に座って改めて最初から、なんて見方もアリだった。で、そういえばこの辺からさっき見た記憶があるな、と思ったら、最後まで見てもいいし、そこで切り上げて上がってもかまわない。そういういろんな楽しみ方も昔の映画館にはあった。
 
いい意味でも、悪い意味でも「品」のよさが前面にでてきた映画館。家で見るレンタルや衛星放送との違いがその辺に出てきているのだろう。
 
でも劇場の楽しさはスクリーンと大きさだけじゃないと思う。
 
その場の独特の雰囲気、空気、歓声、拍手、そういうみんなで見てるという一体感が劇場の良さだったと思うのだが・・・・いまどきは流行んないのかもしれない。先行ロードショーなんかに来るコアな映画ファンばっかの回だと、今でも拍手や歓声も上がるようだけど。
 
ま、すてたものじゃないと思えるのはこういうバカな企画が今でもやってるってとこかな。
http://www.tohotheater.jp/news/topics.html
史上空前の”イッキミ”スペシャル2005
マトリックスNIGHT・・・マトリックス三部作"イッキミ"
ダイ・ハードNIGHT・・・ダイハード三部作"イッキミ"
・・などなど。
なかでもすごいのは、
スター・ウォーズNIGHT・・・スターウォーズ六部作"イッキミ"
(09:00〜24:30〜)
というのもあった。参加すれば一日中スターウォーズのテーマが頭を流れていることになる。
 
まあ、釣りバカ日誌16本! とか、ましてや「男はつらいよ」48本耐久マラソンに比べればたいしたことはないのかも知れないけど。
 
どっかの映画好きが1人くらいは、本気でやってるだろうなあ・・・。