第二百七十三夜 人力検索を辞める日 其の一

長きに渡って休止してきたダイアリーですが、試みに再開してみることにしました。ブランクあるので文体などおかしかったりするかもしれませんがご容赦を。あまりに久々過ぎてチェックしているユーザーもいないだろうと見越して再開1発目は少し過激な中身です。
 
ダイアリーは丸一年以上明けていましたが、ここ半年ほど人力検索だけは復帰していました。
当初id:piroriさんに勧められて始めた頃は人力検索が面白くて仕様がありませんでした。ダイアリーと連携させていろんな遊びを考えたり、他のユーザーとのやり取りも楽しんだり、はてなアンテナで更新されたユーザーのダイアリにすぐに書き込みに行ったりと、連携の取れた各サービスは斬新で新鮮味に溢れていました。ダイアリーの第一夜を読み返しましたが2004年の2月8日、人力の最所の回答は2004-01-28となっています。そういえばpiroriさんが訪れたころは雪が舞っていたような・・(今週のお題)かなーり強引ですね。
 
もう少し回顧録みたいな話題にお付き合い下さい。
 
さて、私事の忙しさとの兼ね合いもあって、人力もダイアリーも休止したり再開したりを繰り返していたのですが、今回の再開(人力回答2009年9月頃〜)では過去に体験したようなワクワク感はなりを潜め、どちらかというと某巨大掲示板のノリが混在した初心者には敷居の高いサービスだと感じている自分に気づきました。ある程度古参ユーザーと呼ばれるユーザーがなんとなく横に繋がりメインストリームをはっていて、その上を滑るように情報を求める新参者が入れ替わり立ち代り入ってくる。悪質回答者をバッシングする流れは以前よりも先鋭的になっている感があり、新しい遊びを開拓するよりも「過去の面白かった企画」を懐かしむような質問が目立つ。
 
要はつまんなくなったということです、人力検索が。

以上主観入りまくりの感覚的な感想ですが、果たして本当に人力検索はつまらなくなったのだろうか?
 
私も年を経たことで「いまどきの若いものは・・・」と懐古主義に走る古参ユーザーの僻みがそう感じさせるのだろうか?
ただ、人力検索をやっていると時々質問にしても回答にしてもイタタマレナイような感情を抱くことがあり、特に今回の再開後はそういう感想を持つことが多くなっています。そしてそういうときにユーザーは「はてなやーめたー」となるのではないだろうかと考えます。
そして本当に面白い遊びを考えてきた優良ユーザーはどんどん減ってるのではないだろうか?
 
それを数字で探れないだろうか?
(ここからが今回の本論です)
こういったことを考えるきっかけになったのが、
http://q.hatena.ne.jp/1259377079
この質問です。

【ある程度長く人力検索を使っていらっしゃるユーザーさんに質問です】
 以前に自分が立てた質問で印象に残っているものの1つについて、その時の回答者さんが今どうしていらっしゃるかちょっと確認してみました。
 18回答を得たある質問では、退会されてしまったユーザーさんが11.1%、最近でもはてな内で活動されているユーザーさんが55.6%でした。(後者の算出方法には、多少主観が入っています)
 印象に残っているあなたが質問者だった質問では、どんな感じですか?(主観を混えて計算して教えて下さい)
 URLは、差し支えなければあなたが質問者だったその質問ページを紹介して下さい。


質問者のid:Kityoさんもかなりの古参ユーザーのようで、この質問の裏の意図として「過去の優良ユーザーを呼び戻す」という狙いがあったとコメントされています。
 

 
はてなの過去と現在を数字で計ることはできないだろうか? と考えて真っ先に思いつくのははてな登録ユーザー数の推移です。簡単に調べてみました。
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20060425_hatena/

登録ユーザー数の推移は、2004年5月に10万人、2005年2月に20万人、2005年9月に30万人、2006年4月23日に40万人を突破。グラフにすると上記のような感じになります。

あと、ブログサービス「はてなダイアリー」の総開設数も4月現在で24万8千に達しています。

2004年から2006年も公式発表では順調に伸びているようです。
http://codezine.jp/article/detail/3924

Q&Aサイトやソーシャルブックマークサービスを提供する株式会社はてなは、ユーザー総数が5月6日に100万人を突破したと発表した。100万人目の入会者には、はてなオリジナルTシャツと、はてなスターで利用できる「カラースター」1年分が贈られた。

はてなユーザーの推移(※数字は、退会したユーザーを除く、各時点での実ユーザー数)
2007年1月 50万人
2008年7月 80万人
2009年1月 90万人
2009年5月 100万人


はてさて、ユーザー数は順調に伸びている、でも何かおかしい・・・そもそも調べたいのは人力検索が衰退しているか活性化しているかであって、様々なサービスが追加されたはてな全体のユーザー数ではない。何かいい方法は無いものか、と考えたところ思いついたのが、「人力検索の質問数を調べてみよう」ということでした。
幸い、人力検索の過去質問はすべて閲覧可能です。ただその量たるや半端ではない。本日時点でも22万件以上の質問が入っている・・・。
 
そこで発想を変えて、「質問数が伸びているのかどうか」であれば、ページビューは20質問と固定なのだから、ページ単位で数と登録日付を拾っていけば推移は分かるのではないか? と考えました。具体的には500ページごと(10000質問)に最下部にある質問の登録日とを拾っていって、集計するというもの。

一寸余談になりますが、人力検索最初の質問は、
http://q.hatena.ne.jp/995116699

オークションのプログラムの作り方について教えて下さい。

id:juneさんによる質問です。このときの最初の回答がid:jkondoさん。そしてポイント0。juneさんのこの後の活動がすぐに尻すぼみになること、idのjuneを深読みするとサービス開始の7月の前にテストプログラムとして走らせていたときのアカウントとして6月=JUNE、は考えられうるかなあと思っていました。 

さて本題に戻りまして、上記の集計を行った結果がこれです。

はい、ちょっと見づらいですね。
というわけでグラフ化してみました。
 

"系列1"は一日辺りの質問数です。母数の区切りが「1万質問辺りにかかった日数」からの算出なので(1000質問辺りだととてつもなく大変なのです)折れ線の山谷がいびつになっているところはご容赦を(横軸は時系列ではありますが、定点の間隔が1万質問に掛かった日数=定量ではない、になっているので、正確には横軸の推移は時間と完全には連動していません)。でも大体の推移はこれで分かりますね。
 

・・・
・・・・・
そう、人力検索は廃れているのです。
 
具体的には2006年の夏頃をピークに質問登録数は下降線を描いています。
自分で作っておきながらこの数字、目を疑いました。少しは廃れているのかもしれないが、まさか本格的なサービス開始後の2004年の前半の水準まで質問登録数は落ち込んでいるとは思いませんでした。(そもそものやり方を間違っていたんではなかろうか・・と疑心暗鬼に陥ったくらいです。トラックバック先のKityoさんのコメントを見て逆に安心したくらいです)

質問登録数が少ない→面白い質問も出にくい→サービスそのものに不満→ユーザー離れ→最初に戻る という悪循環に陥ってるのではないだろうか?

 
これに先のはてな全体のユーザー数の推移を重ねてみました。(ユーザー数は赤線の"系列2" 単位はグラフに相関があった際に分かりやすいように千人単位としました)

これで結局分かったことは・・・・
 
登録ユーザー数の増加と人力検索は何の相関関係も無い、ということです。
これは何を意味しているのでしょうか? 
公式発表の登録ユーザー数に誤りがある?
新規ユーザーは人力には流れ込まない?
 
とりあえずこの点は後回しにするとして、質問登録数が減少に転じた原因を探るため、はてなの歴史から人力に関係しそうな内容をあさってみました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%AF%E3%81%A6%E3%81%AA_(%E4%BC%81%E6%A5%AD)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%AF%E3%81%A6%E3%81%AA%E3%81%AE%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%B9%E4%B8%80%E8%A6%A7
wikiからはてなのサービス開始時期など。
http://d.hatena.ne.jp/hatenadiary/20041101
はてなダイアリから過去の大きな出来事(住所登録の件)の時期など。
 
ざっと人力の活性化に関係しそうなトピックスを拾ってみたのが下記です。
かなり主観が入っているかもしれないですし見落としているのがあるかもしれないのでこいつはもうちょっと調べてから書き足すつもりです。

?2001年10月25日 - 人力検索サイトはてな有料化
?2003年3月13日 - はてなダイアリー正式版リリース
?2004年1月5日 - はてな掲示板いわしに書きこみできるユーザーを限定
?2004年2月20日 - アンケートはてなサービス開始
?2004年11月ごろ 住所登録問題
?2005年2月10日 - はてなブックマークベータ版リリース
?2006年3月13日 サービスリニューアルURL義務化撤廃 いわし追加

 
もっとも関係しそうだと思われた住所登録の時期は2004年の11月、グラフでは最初の谷に当たっていますが、いかんせん年末にかかる時期(年末はユーザーの活動量が落ちる可能性がある)で且つデータの取り方が荒い(1万質問辺り)のでこの谷が直接住所登録とリンクしたものとは断定しづらいです。
 
一方、2006年の春に行われたサービスリニューアル、こちらの方が時期的にはマッチするかもしれません。

こちらは後で詳しく追いかけるとしてさらに外部要因が無いか、も検討してみましょう。
キーワード:人力検索より
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%bf%cd%ce%cf%b8%a1%ba%f7
(そういえばこのキーワード自分で書いたんだよなあ、と感慨に耽ってしまいました)

答えてねっと
http://www.kotaete-net.net/
2002年7月1日サービス開始

NAVER知識Plus
http://plus.naver.co.jp/
2003年12月18日β版公開、2004年1月30日正式サービス開始

Yahoo! 知恵袋
http://knowledge.yahoo.co.jp/
2004年4月7日β版公開

livedoor knowledge
http://knowledge.livedoor.com/
2006年2月8日サービス開始

最大のライバルと思われる知恵袋などのサービス開始時期とも特にリンクはしていないようです。livedoor knowledgeが強いて言えば近いかなとも思われますが。
(ネット以外の社会的な動きもあるのかもしれないのでそちらも後で当たることにします) 


サービス、外部要因、ときて他に思いつくのはユーザーサイドの問題。これには当時の質問を漁ってみたり、あとは回答拒否問題など思いつく限りのことを調べてみたいと思います。
(以下次回に続く)