第九十六夜 ハナミズキ

九州旅行中は知り合いの車に乗車していたのですが(日に5時間くらいは車中だった)その中で連続してかかっていたのが「一青窈 ハナミズキ」でした。山に登っている間も頭から離れず知らず鼻歌から口笛に変わっていきました。最近の曲の中では久々のヒットでした。気に入ったので歌詞が全文知りたくなり検索してみたところ、やはり同じように気に入った方がブログ上で全文掲載していました。
http://diarynote.jp/d/46300/20040430.html

 ハナミズキ

作詞 一青 窈
作曲 マシコタツロウ
唄 一青 窈


空を押し上げて
手を伸ばす君 五月のこと
どうか来てほしい
水際まで来てほしい
つぼみをあげよう
庭のハナミズキ

薄紅色の可愛い君のね
果てない夢がちゃんと終わりますように
君と好きな人が百年続きますように

夏は暑過ぎて
僕から気持ちは重すぎて
一緒に渡るには
きっと船が沈んじゃう
どうぞゆきなさい
お先にゆきなさい

僕の我慢がいつか実を結び
果てない波がちゃんと止まりますように
君と好きな人が百年続きますように

ひらり蝶々を
追いかけて白い帆を揚げて
母の日になれば
ミズキの葉、贈って下さい
待たなくてもいいよ
知らなくてもいいよ

薄紅色の可愛い君のね
果てない夢がちゃんと終わりますように
君と好きな人が百年続きますように

僕の我慢がいつか実を結び
果てない波がちゃんと止まりますように
君と好きな人が百年続きますように

君と好きな人が百年続きますように。

いい曲の歌詞というのは前後の文脈が唐突で繋がらないものですが(それがいい!と私は思いますし桑田圭介もそう言っていたのを聞いたことがあります)このハナミズキもそういう「訳の分からなさ」があちこちにあります。その中で

夏は暑過ぎて
僕から気持ちは重すぎて
一緒に渡るには
きっと船が沈んじゃう
どうぞゆきなさい
お先にゆきなさい

というフレーズが妙に頭から離れません。このフレーズがサビの「君と好きな人が百年続きますように」に繋がっていくのだとおものだけど、語り手の自己犠牲があまりに切なくて、成就しない恋というか、自らが身を引くことで成り立つ幸せというか、それ故にこの歌の幻想的な雰囲気が俗っぽくない高尚な形に昇華されていくんだろうなあ、と感じられます。

ところで偶然というか、帰りの飛行機で読んだ雑誌に、
ハナミズキという花はキリストが大きくならないようにしたから大きくなれないのだ」
という記述を読みました。気になったので調べてみました。
googleで検索 ハナミズキ キリスト
簡単に出てきました。
http://www.asahi-net.or.jp/~db3t-kjmt/topics/kigi/hanamiz2.htm
ドッグウッドというのはハナミズキの英語名です。

ドッグウッドの言い伝え
キリストが磔刑に処せられた時代、ドッグウッドはオークなどの森の木と同じような大きな木であった。ドッグウッドは大変堅く強かったので、磔刑の十字架用材木として選ばれた。このような残酷な目的に使われたのでドッグウッドは大いに悩み苦しんだ。イエスは釘付けにされながらもこのことに気がつき、ドッグウッドの悲しみと苦しみを優しく憐み、こう言った。「私の受難に対するあなたの悲嘆と哀れみにより、ドッグウッドの木は今後十字架に使われるほどには成長しないだろう・・・・」それからというもの、木は曲がり、花は二つの長い花びらと短いものが十字架の形となった。花びらの縁は釘の錆と血痕で茶色と赤に染まった。花の中心はいばらの冠を思わせる。見る人がいつまでも覚えているように・・・。

[原文]
Legend of the Dogwood

The dogwood is the most beautiful tree in the woodlands, in the opinion of many nature lovers, and here is the old legend of how the tree became what it is now;

At the time of the crucifixion the dogwood had the size of the oak and other forest trees.
So firm and strong was the tree that it was chosen as the timber for the cross.To be used thus for such a cruel purpose greatly distressed the tree, and Jesus, nailed upon it, sensed this and in His gentle pity for all sorrow and suffering, said to it:
"Because of your regret and pity for My suffering, never again shall a dogwood tree grow large enough to be used as across………..
Henceforth it shall be bent and twisted and its blossoms shall be in the form of a cross - two long and two short petals. And in the center of the outer edge of each petal there will be nail prints brown with rust and stained with red and in the center of the flower with be a crown as of thorn and all who see it will remember……….."

一青窈さんはこのハナミズキの由来をご存知だったんでしょうか? なんか曲の雰囲気から察するに「知っていた」と思う方が自然な気がします。でもそうすると、「100年続きますように・・・」は千年でもいいんではないかな? などと考えてしまいます。どうなんでしょうね。