第十四夜 略語の侵略

「・・・○○で、ぐぐってみたらさあ・・・」
初めて「ぐぐる」、という言葉を聞いたのは大学時代の先輩との会話だった。
???
ぐぐる、って何?
私は即座に聞き返した。
googleで検索することだよ」
さも当然のように先輩は答えてくれました。
ふーんそういう言葉があるのかー、とはすぐには思いませんでした。
その先輩は「日本百名山」の著者で登山愛好者の中では神に匹敵する「深田久弥」(フカダキュウヤ)のことを

ふかきゅー

と呼んでた人だったので。「ふかきゅー」の方は恐らく名づけ親に間違いないでしょう。
(ご存知ない方は「深田久弥 日本百名山」でぐぐってみてください。4000件以上ヒットする有名人です)
その後しばらくして、ぐぐる、という動詞が一部ネット上では割と普及した言葉であることを知りました。
さらに変化形として

ぐぐらー

というのもあるようです。定義は 暇さえあればGoogleにアクセスしている人だそうで、どうやら私も該当者のようです。嬉しくないなあ。

というわけで今回は略語の話です。そもそも私は「ぶろぐ」という言葉さえ最近知ったばかりです。
意味を調べて、ブログと呼ばれるサイトを見てみて、結局のところ「なあんだ」となったのですが、略語というのはえてしてそういうもんですね。

ネット上にはこの略語が氾濫しています。検索キーワード、はてなキーワードにも増えてきました。
特定の集団の中では通用するのですが、門外漢には取っ付きにくさを感じさせます。

インターネットが始まったころの黎明期では、
「世界中の人とコミュニケーションがとれる!!」
という意味のフレーズがキャッチコピーのようにもてはやされました。
でも、それが落ち着いた頃には、
「世界中のどんな人ともコミュニケーションを取りたいとは思わない」
という変化か訪れ、
「自分と趣味が同じ人とコミュニケーションがとりたい」
となり、さらにそれは
「趣味の違う人は排他したコミュニケーションにしたい」
という形式に落ち着いてきた、と私は見ています。
それは掲示板荒らしや、顔の見えない相手とのコミュニケーションであるネットでの行き違いのようなものが積み重なって、自然と出来上がってきたと、思われます。

うーん、そんなことないよ、という方もいるかもしれません。でも個人サイトの全体的な流れはクローズしたネットに流れて行きつつある、そう見えます。誰でもいいから見に来て頂戴から、共感できる人だけでいいよ、という言い方をした方が分かり易いでしょうか。
そういう流れの中でロボット検索に登録されることをよしとしないサイト作成者も生まれてきています。
わざとロボット検索にかからないように、クロールから外してもらうコードを埋め込むのです。

細かいやり方は別の機会に回すとしまして(第二十七夜で画像をクロールさせない方法について言及してます。ページをクロールさせない方法もこれに準じてます)、話を略語に戻すと、これもクローズしたネットへの移行の産物ではないか、と思えるのです。
特別な略語を使うことによって、検索サイトから流れてくる人を選択してしまっているのです。
それがサイト作者の意図であれば、googleのような普遍的な結果を出すことを目的としたロボット検索は、いづれ廃れていくのかもしれませんね。

では私の好みの言葉を並べて出来るだけ検索に引っかからないような文章を作ってみましょう。

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もーにんぐにguぐってみたけど全×2うまくいかなかったよーマル 

うーん無理してもだめですね。