第二百八十一夜 人力検索を辞める日 其の九

しばらくログインできない日々が続いて、すでにネタ的には旬ではなくなっているのだが、自分なりの結論を出すために最後を締めておきます。
 
長かったですが人力検索が廃れた、内部要因の検証です。

 
この話題を提供し始めた1月の中旬ころとは状況がかなり変化している上に、他のサイトでも同じようなことを検証し、対策として人力検索で実施の質問をされている方もいらっしゃるので最早当初の目的を達する必要もなくなってしまいましたが・・・、まあがんばって終わりを締めさせて頂きます。
 

まず、其の一で記述した、2006年の夏頃をピークに質問登録数が減少している点、
其の五で記述した2006年の質問減少傾向はまずコアタイムから始まっている点、

ここに注目しました。このころに何が起こったのか?

2006年3月13日 サービスリニューアル実施、
です。本とは他にも色々要因はあるのですが、今回はここに絞って論じます。あくまで”質問が減った理由です”

人力検索は一部のコアな”質問ができる”ユーザーのパワーに寄って、成り立っていました。
それを支えていたのは優秀な”回答ができるユーザー”の善意です。
減少の傾向から、私は勝手ながらこの一番コアとなるユーザーから人力検索を離脱していったのではないかと考えています。
それはコアユーザーが主に活躍していたのはこのコアタイムだからだと踏んでいるからです。
言葉は悪いですが、一般の会社の勤務時間にその勤務の合間に質問を登録・回答、というスタイルがコアユーザーの中心ではなかったのかな、と考えているためです。
 
その関係に何度もわって入ってきたのは都度発生する「悪質回答者」であり、その発生はあたかも「季節性インフルエンザ」が毎年対処できるワクチンのタイプを変えて発生してきたのに似ています。
ユーザーはそのワクチンでの対応を諦め、もっと有効な手段を取ることを選択しました。
それが「回答拒否」です。
回答拒否はとても有効に思える、(思えた)システムでした。害悪と思われる回答者が現れれば、都度対応していけばいいわけです。でもその方法はユーザー一人一人に相手の生殺与奪権を無条件で与えたことに他ならないのです。はてなの仕組みを理解しきった熟練ユーザーにも、今日参加した新米ユーザーにも、昨日までうごメモしか知らなかった小学生ユーザーにも、等しく、一丁づつ、相手を殺せる拳銃を支給したのです。
 
その本当の害悪を理解した”熟練ユーザー”から、若しくは最初に銃を向けられた”目立つユーザー”から人力検索を離れさせることになったのです。
 
「当たらなければどうという事はない」と鷹揚に構えられる熟練ユーザーでも一度集中砲火、それも元に戻らない傷を負えば、そのうちに離れます。
 
そうして人力検索のコアなユーザーは減少していったのではないかと考えています。
 
其の八の外部要因も検証しましたが、同時期は、人力検索はてながそれまでコアユーザーとしていたネットユーザー層が減少に転じている時期でもあろうかと推察しています。
また人力検索は、そのメインサービスとしての地位をブクマや他のサービスに取って代わられました。
 
有料で質問を行うというスタイルを確立しておきながら、そのスタイルを伸ばしていく努力をしなかったために、減少していくユーザー数以上の取り込みを行えなかったのではないかと考えられます。

 
さて、私のダイアリにもはてなの中の人からコメントがつきました。
id:naoyaさん
からで「がんばります」との一言だけだったので、最初は何のことやらさっぱりでした。
 
そのうちに
http://hatena.g.hatena.ne.jp/hatenaquestion/20100204/1265278469
などで、今後人力検索に大幅なテコ入れを行うとの発表がありました。
 
ちょうど私が忙しくなり、体調も崩し勝ちになったタイミングだったので、ここの記述も尻すぼみになったのですが、今回の其の九では一応の結論を示しておきます。
 
このままテコ入れしなければ、人力検索は遠からず、質問数減少に歯止めがかからず、衰退します。
 
もはや有志のユーザーがここに「盛り上げるための質問」を個別におこなって花火を揚げる程度では根本的な解決にはなりません。
(社会現象化するような質問が立てつづけにおこれば話は別ですが、そこまでは期待できないでしょう)
 
行うべきはスタッフレベルの改革であり、その方向は下記のものが必要だと思っています。

1.質問数、つまりアクティブのユーザー数を積極的に増やす根本的な施策を打たなければならない
2、ただし、1に先だって、有料ユーザーがはてなを辞めていった原因を取り除かねばならない。少なくとも取り除く努力をしたことをはてなサイドが示さないといけない
3、有料で質問を登録する方法を継続するのであれば、ポイント購入の仕切りを下げる必要がある、具体的には匿名でかつ、低価格帯(500point〜)のポイント購入方法を導入する。
4、3で述べたのとは反するが、一方で全ユーザーの登録を必須とする方向で、質問・回答者の身元管理をしっかり行う方法を導入する必要がある。
5、ユーザーの身許管理はあくまでユーザーとポイントを一対一で結びつける方法であればよく、必ずしも個人を特定する必要は無い。ただし、フリーのメアド等、一人が複数獲得できる方法に寄ってはならない。
 

 
数日離れている間にうごめもユーザー問題などもぼっ発しているようである意味、人力は騒がしい状態のようだが、それにしても、60-80質問/日のペースは崩れてはいない。ハイクや人まユーザーなどわずかに残った過去を知り、はてなの今後に有意義な意見を提案できるユーザーがいるうちにはてなスタッフに残された時間はそう長くないと、思う。

 
で、上の1〜5を具体的にするための方法だが、それを其の十で示して、"人力検索を辞める日"の記述をおしまいにしようと思う。
ただ、この方法が一番難しいのであって、これが私一人で思いつくようならそもそも人力検索に限らずどのWebサービスだってうまくいくだろう。

 
正直これを書き終わった時点で私が人力検索を続ける気力を持ち続けていられるから不明だが、最後に購入した1000P分の質問はやりきってから終わりにしようと思う。

追記:
今回のうごメモユーザー流入事件について、分かったことがある。
運営は早速「 12歳以下のユーザーからの回答を受け付けない」をデフォルトでオンにするオプションを付けた。
つまり、今回は対象が12歳以下でかつ、年齢を正直に入れるユーザー層が対象だったからこういうやり方でも通用したが、悪意の有り無しにかかわらず、悪質回答を行うユーザーには既存の「回答拒否機能」は全く有効ではない、むしろユーザーを減少させた過去の悪例として有害ですらある、と考えました。